用語と手続き

確認申請不要!?プレハブ物置にまつわる法令をチェック

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この記事のポイント
  1. プレハブ物置やコンテナが「建築物」となる判断基準
  2. 10㎡以下の建築物が適法である必要性
  3. 手続き違反の物置のペナルティ
  4. コンクリートブロック基礎は適法か違法か

今回は、イ○バの物置やコンテナハウスなどの庭先に置かれる物置・倉庫について、確認申請時に勘違いされやすいポイントをまとめます。

例えば、建築士でも以下のような相談をしてくることがあります。

防火地域外で住宅の建替えを計画中ですが、敷地内の既設物置(4.0㎡)を建替え後もそのまま使いたい。基礎はコンクリートブロックで土地に定着していないからそもそも「建築物」じゃないし、10㎡以下の既製品だから確認申請が必要ないものなので、特に問題ないと考えていますが…?

えっと、めちゃくちゃ問題ありですね…

あなたは、建築基準法的にどこが間違っているか分かりますか?
また、何をどう勘違いしているか指摘して正すことが出来ますか?

いくら施主の利益を守るためとは言え、法令違反をしたのでは褒められたものではありません。法的な根拠を施主に説明しつつ、正しい方向へ導くことも建築士の仕事です。ひとつひとつ施主を納得させる為の理論を武装していきましょう。

物置・倉庫は基本的に全て「建築物」

なぜなら国交省にマークされているから

まず、相談の物置は「建築物」なので、建築基準法に適合させる必要があります。根拠は法2条1項一号に記されています。

建築基準法 第2条

一 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。
二 (以下略)

相談者の切り口としては、「土地に定着する」という点に該当しないとして、そもそも「建築物」ではない論で突破しようとしていますが、下記リンク先の国交省の見解により一蹴されることになります。

国土交通省HP「コンテナを利用した建築物の取扱いについて」

…コンテナを倉庫として設置し、継続的に使用する例等が見受けられますが、このような随時かつ任意に移動できないコンテナは、その形態及び使用の実態から建築基準法第2条第1号に規定する建築物に該当します。このため、一般に、建築基準法に基づく確認申請を行い、確認済証の交付を受けないと設置できませんので、ご留意ください。…

国土交通省HP コンテナを利用した建築物の取扱いについて より

基礎が無いものでも形態や使用の実態から建築物と判断されるようです。

建築基準法のあらゆる抜け道として、そもそも「建築物」ではない論法は悪くありませんが、残念ながら国交省が先手を打っていました。

ただしサイズによっては「建築物」ではない

ただし、小規模な倉庫の取扱いとして、「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例2017年度版」には以下のとおり記載されていて、条件に合えば法2条1項一号の「貯蔵槽その他これらに類する施設を除く」に該当するとして倉庫を「建築物」として取扱わない道も無いことはないですが、条件はかなり厳しいですね。

土地に自立して設置する小規模な倉庫(物置等を含)のうち、奥行きが1m以内のもの又は高さが1.4m以下のものは、建築物に該当しない。

建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例2017年度版 より

10㎡以下でも「建築物」は法適合が必要

「床面積が10㎡以下なら法適合させなくてよい」と思っている人、ほんとうに居なくならないですよね。

そんな人が居なくなるまで繰り返し書きますが、
法第2条の「建築物」は何㎡であっても全て建築基準法に適合させる必要があります。

防火・準防火地域外の10㎡以下の増改築などについて建築確認が不要という規定(法第6条第2項)はありますが、あくまでも確認申請が不要というだけです。

絶対に混同してはいけません。

ただし、この「10㎡」という数字、コンクリートブロック基礎の法的判断について関係してきますので、覚えておいてください。

手続き違反の「建築物」は行政から報告を求められるかも

不意にバレて面倒なことになる

「既製品を設置するだけだから確認申請が不要だと思った。」違反者のよくある言い訳です。

これは恐らく、「メーカーが作っていて仕様が決まっている物を買ってきて、ポンと置くだけ」という気持ちから建築基準法でいうところの「建築」(法2条1項13号)に当たらないという感覚的なものによると思われますが、確認申請の要or不要に既製品かどうかは関係ありません。

建築基準法 第2条

(中略)
13  建築 建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転することをいう。

確かに防火・準防火地域外で10㎡以内の物置であればたまたま建築確認は不要ですが、10㎡より大きい物置であれば必ず確認申請は必要です。仮に、完了検査後に無確認でこっそり設置していた(手続き違反)となると、特定行政庁より法12条5項に基づく報告を求められ、法への適合性を調査・報告しなければならないことがあります。(増改築時の確認申請時などに必ずバレます。)

また、悪質と認められた場合、改善計画等の行政協議を経ないと確認申請が通らないことも。

小規模な物置はだいたい4号特例ですから、実務的には構造計算書を添付する必要がないため、サクッと確認済みになるものです。ちゃんと確認申請を出しましょう。

違反発覚の原因と処理方法については↓記事で解説しています。

不適合が判明すると是正を求められる

12条5項報告時には手続き違反の建築物について調査し、法への適合状況を検討します。ただ、既設の建築物は隠蔽部も多いですから基礎の断面や外壁の下地などを確認するのは難しく、調査をする建築士等が責任を持って法適合や安全性について判断することになります。

その際、プレハブの物置や倉庫に関してよくあるのが、基礎がコンクリートブロックであるため施行令38条について不適格(?)となるパターン。

報告後も物置を使用し続けたい場合には改修して法適合させる必要がありますが、大きなハードルとなるのが外壁の仕様と、この基礎について。建物を浮かせて基礎をやり替えることも難しいと思いますので、次のトピックでなんとかコンクリートブロック基礎のままで突破する道を考えます。

コンクリートブロック基礎の是非

コンクリートブロックの上にプレハブ物置が置かれてるのってよく見かけますよね。
建築基準法的にはどうなんでしょうか。

まず、基礎に関する規定を確認します。先ほど登場した施行令38条です。

1 建築物の基礎は、建築物に作用する荷重及び外力を安全に地盤に伝え、かつ、地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとしなければならない。
2  建築物には、異なる構造方法による基礎を併用してはならない。
3  建築物の基礎の構造は、建築物の構造、形態及び地盤の状況を考慮して国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとしなければならない。この場合において、高さ13m又は延べ面積3,000㎡を超える建築物で、当該建築物に作用する荷重が最下階の床面積1㎡につき100kNを超えるものにあつては、基礎の底部(基礎ぐいを使用する場合にあつては、当該基礎ぐいの先端)を良好な地盤に達することとしなければならない。…

施行令第38条  (抜粋)

施行令38条の3項で「大臣が定めた構造方法」は、告示で定められています。

建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第38条第3項及び第4項の規定に基づき、建築物の基礎の構造方法及び構造計算の基準を次のように定める。
第一
建築基準法施行令(以下「令」という。)第38条第3項に規定する建築物の基礎の構造は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、地盤の長期に生ずる力に対する許容応力度(改良された地盤にあっては、改良後の許容応力度とする。以下同じ。)が1㎡につき20kN未満の場合にあっては基礎ぐいを用いた構造と、1㎡につき20kN以上30kN未満の場合にあっては基礎ぐいを用いた構造又はべた基礎と、1㎡につき30kN以上の場合にあっては基礎ぐいを用いた構造、べた基礎又は布基礎としなければならない。
一 木造の建築物のうち、茶室、あずまやその他これらに類するもの又は延べ面積が10㎡以内の物置、納屋その他これらに類するものに用いる基礎である場合
二 地盤の長期に生ずる力に対する許容応力度が1㎡につき70kN以上の場合であって、木造建築物又は木造と組積造その他の構造とを併用する建築物の木造の構造部分のうち、令第42条第1項ただし書の規定により土台を設けないものに用いる基礎である場合
三 門、塀その他これらに類するものの基礎である場合

平成12年5月23日 建設省告示第1347号 (抜粋)

要約すると、基本的に基礎の仕様規定については、地耐力によって布基礎、べた基礎、基礎ぐいの中から選ぶわけですが、10㎡以内の建築物であれば基礎の仕様は何でも良いと読み取れます。

よって、10㎡以内の物置であれば、コンクリートブロック基礎であることについて不適合となることはありません。

①防火・準防火地域外で、②10㎡未満であれば、確認申請不要かつCB基礎の物置が可能というわけです。

厳密には、上記の理由により「仕様規定の不適合でない」は100%言い切れましたが、令38条を満たすには構造計算が必要になりますし、法37条を満たすにはJIS規格のものである必要がある…などの次のハードルはあります。

12条5項報告の実務では、「構造計算⇒滑動・転倒の検討でNGでない」「JISかどうかは分からないが丈夫そうだからOK」で乗り越えられる場合も多いです。※あくまで調査する建築士の責任のうえです。

構造が鉄骨造なら、延焼ライン内の外壁にかかる構造方法(法23条)もかかってきませんし、何とかなりそうな気がしてきましたね。

まとめ

以上、住宅付属の倉庫・物置で勘違いされやすい法規をまとめました。

  1. 人が入れる大きさの物置は土地に定着しなくても「建築物」
  2. 「建築物」は何㎡でも全て建築基準法を守ることが大前提
  3. 手続き違反をするとペナルティがある
  4. 10㎡以下の物置は基礎の仕様規定から除外される

たかが物置と思っていると、意外なところで法令違反になることもあります。気をつけていきましょう。

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