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確認申請が必要?準用工作物とは【申請の流れも】

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この記事のポイント
  • 建築基準法が準用される工作物とは
  • 準用される規定と注意点
  • 確認申請で必要な書類

今回は、建築基準法の「工作物」に関する規定をまとめます。

建築基準法は基本的に法2条に定める「建築物」のみが対象なのですが、法88条に定める準用工作物等に対しては法6条(建築確認の規定)を含む一部の規定について建築基準法が準用されます。

工作物の確認申請。必要書類やチェックしなきゃいけない条項についてはあまり馴染み無いですよね。

簡単に整理していきましょう。

建築確認を受けなければならない工作物

まず、最大の関心事である「どういう工作物だと確認申請出さなきゃいけないか」を整理します。

全ては法88条から始まります。

法88条 及び 令138条に、建築基準法の一部の規定が準用される工作物について定められていて、法88条第1項に定める工作物を「準用工作物」、第2項に定める工作物を「指定工作物」と呼んでいます。

看板や擁壁、昇降機などが「準用工作物」、貯蔵施設やごみ処理施設などが「指定工作物」というイメージです。なお、法律の中で定義されている言葉ではありませんので、勝手にそう呼んでいるだけです。

また、法88条には準用される一部の規定 の条項が羅列されており、その中に法6条(建築確認の規定)があるため、準用工作物指定工作物である場合に確認申請が必要になる。というカラクリです。

確認申請が必要な工作物について表にまとめます。

適用
区域

条文用途規模工事
種別
全国
(都市計画区域内外を問わず)
準用
工作物
法88条
第1項
令138条
第1項
煙突高さ6mより高い築造
RC柱、鉄柱、木柱等高さ15mより高い
広告塔、広告板、装飾塔、記念塔等高さが4mより高い
高架水槽、サイロ、物見塔等高さが8mより高い
擁壁高さが2mより高い
令138条
第2項
観光用施設に設ける昇降機など
(観光用エレベーター、観光用エスカレーター)
(ただし、一般交通用は建築設備として取り扱う)
築造、大規模の修繕、大規模の模様替え
高架の遊戯施設
(コースター、ウォーターシュートなど)
原動機付回転遊戯施設
(メリーゴーランド、観覧車、飛行塔など)
指定
工作物
法88条
第2項
令138条
第3項
(用途規制が適用される指定工作物)
用途規則(法48条)を受ける工作物である製造施設、貯蔵施設、遊戯施設、自動車車庫、及び処理施設位置の制限(法51条)を受ける汚物処理場、ごみ焼却場等

ただし、以下の場合は法88条及び令138条の規定から除外されます。

①開発許可を受けた擁壁等
築造する擁壁等が宅地造成等規制法、都市計画法、津波防災地域づくりに関する法律による許可を受けなければならない場合(建築基準法第88条第4項本文)

②鉄道および軌道の線路敷地内の運転保安に関するもの
(建築基準法施行令138条第1項かっこ書き)

③送電用鉄塔等
RC造の柱、鉄柱、木柱などで、架空電線路用、電気事業法第2条第1項第17号に規定する電気事業者の保安通信設備用のもの(平成23年9月30日国交告示第1002号「建築基準法およびこれに基づく命令の規定による規制と同等の規制を受けるものとして国土交通大臣が指定する工作物を定める件」

④太陽電池発電設備
電気事業法第2条第1項第18号に規定する電気工作物(※③の根拠と同様
ただし、ソーラーパネル等にあっては架台の下を屋内的用途に供していないこと。具体的には、内法高さ1.4m以下で、囲いなどの立入禁止措置が講じられていること。

⑤風力発電設備
船舶安全法第2条第1項の適用を受けるもの(浮体式洋上風車)または電気事業法第2条第1項18号に規定する電気工作物であるもの (※③の根拠と同様

電力会社等が設置する電柱も建築確認不要ですもんねぇ。

ちなみに、建築物の屋上に設置する太陽光発電設備は「建築設備」です。高さなどの取扱いは「基準総則・集団規定の適用事例2017年度版」に記載されています。

工作物に準用される条項

さて、準用工作物に適用される建築基準法の規定については法88条に羅列されています。原文チェックしたい方は↓をクリックしてご確認ください。

法第88条の条文をチェック!

建築基準法第88条

(準用工作物)
 煙突、広告塔、高架水槽、擁壁その他これらに類する工作物で政令で指定するもの及び昇降機、ウォーターシュート、飛行塔その他これらに類する工作物で政令で指定するもの(以下この項において「昇降機等」という。)については、第3条、第6条(第3項及び第5項から第12項までを除くものとし、第1項及び第4項は、昇降機等については第1項第一号から第三号までの建築物に係る部分、その他のものについては同項第四号の建築物に係る部分に限る。)、第6条の2(第3項から第8項までを除く。)、第6条の3(第1項第一号及び第二号の建築物に係る部分に限る。)、第7条から第7条の4まで、第7条の5(第6条の3第1項第一号及び第二号の建築物に係る部分に限る。)、第8条から第11条まで、第12条第5項(第四号を除く。)及び第6項から第8項まで、第13条、第18条(第4項から第11項まで及び第22項を除く。)、第20条、第28条の2(同条各号に掲げる基準のうち政令で定めるものに係る部分に限る。)、第32条、第33条、第34条第1項、第36条(避雷設備及び昇降機に係る部分に限る。)、第37条、第40条、第3章の2(第68条の20第2項については、同項に規定する建築物以外の認証型式部材等に係る部分に限る。)、第86条の7第1項(第28条の2(第86条の7第1項の政令で定める基準に係る部分に限る。)に係る部分に限る。)、第86条の7第2項(第20条に係る部分に限る。)、第86条の7第3項(第32条、第34条第1項及び第36条(昇降機に係る部分に限る。)に係る部分に限る。)、前条、次条並びに第90条の規定を、昇降機等については、第7条の6、第12条第1項から第4項まで及び第18条第22項の規定を準用する。この場合において、第20条中「次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める基準」とあるのは、「政令で定める技術的基準」と読み替えるものとする。

(指定工作物)
2 製造施設、貯蔵施設、遊戯施設等の工作物で政令で指定するものについては、第3条、第6条(第3項及び第5項から第12項までを除くものとし、第1項及び第4項は、第1項第一号から第三号までの建築物に係る部分に限る。)、第6条の2(第3項から第8項までを除く。)、第7条、第7条の2、第7条の6から第9条の3まで、第11条、第12条第5項(第四号を除く。)及び第6項から第8項まで、第13条、第18条(第4項から第11項まで及び第17項から第21項までを除く。)、第48条から第51条まで、第60条の2第3項、第60条の3第3項、第68条の2第1項及び第5項、第68条の3第6項から第9項まで、第86条の7第1項(第48条第1項から第13項まで及び第51条に係る部分に限る。)、第87条第2項(第48条第1項から第13項まで、第49条から第51条まで、第60条の2第3項、第60条の3第3項並びに第68条の2第1項及び第5項に係る部分に限る。)、第87条第3項(第48条第1項から第13項まで、第49条から第51条まで及び第68条の2第1項に係る部分に限る。)、前条、次条、第91条、第92条の2並びに第93条の2の規定を準用する。この場合において、第6条第2項及び別表第2中「床面積の合計」とあるのは「築造面積」と、第68条の2第1項中「敷地、構造、建築設備又は用途」とあるのは「用途」と読み替えるものとする。

3 第3条、第8条から第11条まで、第12条(第5項第四号を除く。)、第13条並びに第18条第1項及び第23項の規定は、第66条に規定する工作物について準用する。

4 第1項中第6条から第7条の5まで、第18条(第1項及び第23項を除く。)及び次条に係る部分は、宅地造成等規制法(昭和36年法律第百九十一号)第8条第1項本文若しくは第12条第1項、都市計画法第29条第1項若しくは第2項若しくは第35条の2第1項本文又は津波防災地域づくりに関する法律(平成23年法律第百二十三号)第73条第1項若しくは第78条第1項の規定による許可を受けなければならない場合の擁壁については、適用しない。

準用工作物は構造検討が必要

準用工作物については、法20条が適用されるため構造検討が必要ですが、適合させなければいけない技術基準については別途定められる政令に読み替えて適用されます。

具体的には、工作物の種類ごとに令139条から令144条に定められています。

【政令で定める構造の技術基準】
令139条:煙突及び煙突の支線
令140条:鉄筋コンクリート造の柱等
令141条:広告塔又は高架水槽等
令142条:擁壁
令143条:乗用エレベーター又はエスカレーター
令144条:遊戯施設

その他注意するべきは、「がけ条例」の根拠である法40条も準用されていること。また、仮設であっても法85条が準用されないこと。その他は、特別に気を付ける条項はないと思います。

ちなみに、工作物には「築造面積」はありますが、「床面積・建築面積」という概念が無いため、建ぺい率・容積率といった概念もありません。

準用工作物の確認申請

申請の流れは建築物の確認申請と全く同じです。ただし、必要な申請書と図書の種類が建築物とは異なり、それらが全て施行規則3条に定められています。

なお、建築物と準用工作物を同一敷地または同一建築物内に建築・築造する場合であっても、別の構造体であれば各々で確認申請の手続きが必要です。

建築物と(一体ではない)2m越えの擁壁を計画する場合には、確認申請が2本必要なんですね。

必要書類を整理してみましょう。

①どんな工作物でも必ず必要な書類

鉄柱だろうが、広告塔だろうが、擁壁だろうが、必ず必要な書類は以下のものです。
施行規則3条の表一です。

書類名明示すべき事項
確認申請書(工作物)記入欄を埋める。正副それぞれ一通必要。
付近見取図方位、道路及び目標となる地物
配置図縮尺及び方位
敷地境界線、申請に係る工作物の位置並びに申請に係る工作物と他の建築物及び工作物との別
土地の高低及び申請に係る工作物の各部分の高さ
平面図又は
横断面図
縮尺
主要部分の材料の種別及び寸法
側面図又は
縦断面図
縮尺
工作物の高さ
主要部分の材料の種別及び寸法
構造詳細図縮尺
主要部分の材料の種別及び寸法
構造計算書応力算定及び断面算定(※)

(※)細かな条件は施行規則を直接ご確認ください。

②工作物の種類によって変わる書類

工作物の種類ごとに必要な図面が少しずつ違います。
施行規則3条の表二です。

表一と図書の種類は同じでも、「明示すべき事項」がより詳細になっています。

※たくさんあるので、擁壁の場合を抜粋してみます。

工作物の種類図書の種類明示すべき事項
令第142条の規定が適用される工作物(擁壁)配置図擁壁の各部の位置、寸法及び構造方法
平面図又は横断面図がけ及び擁壁の位置及び構造方法並びに材料の種別、寸法及び平面形状
近接又は接合する建築物又は工作物の位置、寸法及び構造方法
構造耐力上主要な部分である部材(接合部を含む。)の位置、寸法及び構造方法並びに材料の種別
側面図又は縦断面図鉄筋コンクリート造等の柱の各部の高さ及び構造方法並びに材料の種別、寸法及び立面形状
近接又は接合する建築物又は工作物の位置、寸法及び構造方法
構造耐力上主要な部分である部材(接合部を含む。)の位置、寸法及び構造方法並びに材料の種別及び寸法
構造詳細図構造耐力上主要な部分である接合部並びに継手及び仕口並びに溶接の構造方法
鉄筋の配置、径、継手及び定着の方法
鉄筋及び鉄骨に対するコンクリートのかぶり厚さ
基礎伏図基礎の配置、構造方法及び寸法並びに材料の種別及び寸法
敷地断面図及び基礎・地盤説明書支持地盤の種別及び位置
基礎の底部又は基礎ぐいの先端の位置
基礎の底部に作用する荷重の数値及びその算出根拠
使用構造材料一覧表構造耐力上主要な部分に用いる材料の種別
施工方法等計画書打撃、圧力又は振動により設けられる基礎ぐいの打撃力等に対する構造耐力上の安全性を確保するための措置
コンクリートの強度試験方法、調合及び養生方法
コンクリートの型枠の取外し時期及び方法
令第38条第3項若しくは第4項、令第39条第2項、令第79条第2項、令第80条の2又は令第142条第1項第5号の規定に適合することの確認に必要な図書令第38条第3項に規定する構造方法への適合性審査に必要な事項
令第38条第4項の構造計算の結果及びその算出方法
令第39条第2項に規定する構造方法への適合性審査に必要な事項
令第79条第2項に規定する構造方法への適合性審査に必要な事項
令第80条の2に規定する構造方法への適合性審査に必要な事項
令第142条第1項第5号の構造計算の結果及びその算出方法

擁壁の場合、上記の書類で令142条等の技術基準への適合を明示します。実務的には、建築士の中でも構造屋さん、もしくは土木コンサルさんの方面の仕事かと思います。

※擁壁について詳しくは↓の記事をご参照ください。

③追加で求められる可能性のある書類

省令には定められていませんが、以下の書類が申請先から求められることがあります。

  • 付近見取図
  • 委任状
  • 公図(敷地内に官地がある場合、公有財産の廃止等の検討のため)
  • がけの形状や地質調査(敷地付近に2m越えのがけがある場合、がけ条例のチェック)

建築物の確認申請と同じですね。

まとめ

準用工作物の要件と、準用される条項確認申請に必要な書類をまとめました。

  • 準用工作物の規定そのものは法88条
  • 具体的に準用工作物にあたるかどうかは、令138条1項~2項を確認
  • 法20条が準用されるため、構造検討が必要
  • 技術基準は令139条~144条に、工作物の種類ごとに定められている
  • 確認申請の必要書類は省令3条に、工作物の種類ごとに定められている

指定工作物については、需要があまりなさそうなので、割愛しました。また別の機会に記事にできたらと思います。

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