今回のキーワードは法46条・法47条「壁面線」
またーに出題が無い年がありますが、傾向がハッキリしているので、もう覚えてしまいましょう。
また、似たような規制の法令で法54条「外壁後退」がありますが、私の知る限りでは過去問に直接登場したことが無いと思うのです…。(あったらごめんなさい。)が、それらを混同している人をミスリードする選択肢も考えられますので、しっかりと整理しておきましょう。
とりあえず「壁面線」「外壁後退」の違いが分からない方は以下のリンクへ
壁面線の出題のポイントは以下のとおり。
- 特庁が壁面線を指定するには「建築審査会の同意」+「利害関係者の意見の聴取」が必要
- 壁面線により制限されるのは「外壁面」+「高さ2mをこえる門・塀」のみ
- ただし書きによる緩和規定があり、そこに罠がある
設問は正or誤で判断してみてください。「+解答と解説」をクリックすると解答と解説が読めます。
問1
特定行政庁は、街区内における建築物の位置を整えその環境の向上を図るために必要があると認め、建築審査会の同意を得て、壁面線を指定する場合においては、あらかじめ、その指定に利害関係を有する者の出頭を求めて公開による意見の聴取を行わなければならない。
[su_accordion][su_spoiler title=”解答と解説” open=”no” style=”default” icon=”plus” anchor=”” anchor_in_url=”no” class=””]【正】壁面線指定の2つのハードル
法46条1項により、正しいですよね。建築審査会の同意だけでなく、利害関係者の出頭を求めて意見の聴取を行うことも条件であることがよく出題されます。
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問2
特定行政庁が、街区内における建築物の位置を整えその環境の向上を図るために必要があると認めて建築審査会の同意を得て、壁面線を指定した場合、建築物の庇は壁面線を越えて建築してはならない。
[su_accordion][su_spoiler title=”解答と解説” open=”no” style=”default” icon=”plus” anchor=”” anchor_in_url=”no” class=””]【誤】壁面線の制限対象
法47条により、壁面線の制限対象は「建築物の壁もしくは柱」「高さ2mをこえる門もしくは塀」です。“壁面線”という名前のとおり、規制されるのは外壁と背の高い門扉・塀”のみ“であることがポイントです。なお、2m以下の門扉・塀に関しては、延焼防止・圧迫感の軽減・倒壊による道路閉鎖の恐れ減少という法の趣旨を踏まえて、むやみに制限の対象とされていません。同じ理由で、空中に飛び出す庇部分についても制限されていません。
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問3
建築物の壁で地盤面下の部分については、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可したものでなければ、壁面線を越えて建築することができない。
[su_accordion][su_spoiler title=”解答と解説” open=”no” style=”default” icon=”plus” anchor=”” anchor_in_url=”no” class=””]【誤】壁面線の制限対象のただし書き
法47条ただし書きにより、誤りです。地盤面下の建築物であれば、問2書いた法の趣旨は確実に満たせるわけですから、許可も不要で建築可能としています。
なお、歩廊については「建築審査会の同意」+「特定行政庁の許可」を条件に建築可能です。商店街のアーケード的なものを想定しての規定でしょう。
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関連法令Tips
壁面線に係る実務で注意すべきは、バルコニーの腰壁や物置の壁面を見落としがちということ。そして、令135条の21は「外壁後退」専用の緩和規定なので、混同しないように。
施行令135条の21
法第54条第1項の規定(外壁後退の規定)により政令で定める場合は、当該地域に関する都市計画において定められた外壁の後退距離の限度に満たない距離にある建築物又は建築物の部分が次の各号のいずれかに該当する場合とする。
一 外壁又はこれに代わる柱の中心線の長さの合計が3m以下であること。
二 物置その他これに類する用途に供し、軒の高さが2.3m以下で、かつ、床面積の合計が5m2以内であること。
また、「地盤面下の建築物」については、他にも色々と緩和規定があります。
例えば、法44条の道路内建築の制限についても、地盤面下の建築物はただし書きにより除外されています。実務的には、敷地の地盤面下にある擁壁については、2項道路のセットバックの対象としない、などの場面でよく登場する緩和規定です。
今回設問にしませんでしたが、容積率に係る規定でも壁面線は登場します。
法52条11項に定める「壁面線の指定がある場合に、特定行政庁が許可した建築物については、壁面線間を道路幅員と見なす。ただし、壁面線より外側は敷地面積として算入しない」ことができる。というものです。容積率には余裕があるけど、道路斜線に触れそうな場合に活用する規定ですね。
以上