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【重要事項説明】古都保存法の解説【届出・許可】

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この記事のポイント
  • 古都保存法とは
  • 歴史的風土保存区域→届出が必要
  • 歴史的風土特別保存地区→許可が必要
  • 特別保存地区が指定されている都市
  • 制限内容の調べ方

今回は、古都保存法(正式名称「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」)について解説します。

不動産取引における重要事項説明書の中に「その他(都市計画法、建築基準法以外)の法令に基づく制限」という項目があり、古都保存法もその中の一つとなっています。

ちなみに、その他の具体的な対象法令は国が公表している重要事項説明書様式(売買・交換)の第九面に示されている法令たちです。(条文としては、宅建業法施行令第3条)

これだけ法令の数があると、全て調べるには役所の窓口まわりだけで大変ですが…。古都保存法は都市計画課などの景観・風致の担当係っぽいですね。

古都保存法とは

古都保存法は、昭和30年代に東京や横浜の宅地開発が急速に進むなか、鎌倉で起きた鶴岡八幡宮周辺の住環境保全運動を契機に1966年(昭和41年)制定されました。

「古都」に指定された市町村においては、歴史的風土保存区域の指定歴史的風土特別保存地区の都市計画決定等の措置を講じ、区域内での開発行為を規制することにより、古都における歴史的風土の保存を図っています。

となると、設定される地区に対してどのような規制が課されるのか気になりますよね。

制限のある区域・地区

宅建業法による重要事項説明として必要なのは古都保存法8条1項の「特別保存地区内における行為の制限」のみですが、建築・開発実務者として知っておいた方が良い部分にも触れて解説します。

歴史的風土保存区域

まずは法文チェックが大事です。

古都保存法
第七条(歴史的風土保存区域内における行為の届出)
 歴史的風土保存区域(特別保存地区を除く。)内において、次の各号に掲げる行為をしようとする者は、政令で定めるところにより、あらかじめ府県知事にその旨を届け出なければならない。ただし、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの及び非常災害のため必要な応急措置として行なう行為については、この限りでない。

 建築物その他の工作物の新築、改築又は増築
 宅地の造成、土地の開墾その他の土地の形質の変更
 木竹の伐採
 土石の類の採取
 前各号に掲げるもののほか、歴史的風土の保存に影響を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるもの

 府県知事は、前項の届出があつた場合において、歴史的風土の保存のため必要があると認めるときは、当該届出をした者に対し、必要な助言又は勧告をすることができる。

以下略

歴史的風土保存区域内では、建築行為や開発行為を行う場合に、府県知事(政令市においては市長)への届出が必要になります。区域の指定自体は国が行います。

届出なので基本は出しっぱなしでOKですが、基準を満たさない場合には助言・勧告を受ける可能性はあります。

歴史的風土特別保存地区

こちらもまずは法文チェック。

古都保存法
第八条(特別保存地区内における行為の制限)
 特別保存地区内においては、次の各号に掲げる行為は、府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの、非常災害のため必要な応急措置として行なう行為及び当該特別保存地区に関する都市計画が定められた際すでに着手している行為については、この限りでない。

 建築物その他の工作物の新築、改築又は増築
 宅地の造成、土地の開墾その他の土地の形質の変更
 木竹の伐採
 土石の類の採取
 建築物その他の工作物の色彩の変更
 屋外広告物の表示又は掲出
 前各号に掲げるもののほか、歴史的風土の保存に影響を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるもの

 府県知事は、前項各号に掲げる行為で政令で定める基準に適合しないものについては、同項の許可をしてはならない。

以下略

特別保存地区内においては、府県知事の許可を受けなければ、建築物や工作物の新築や宅地の造成などを行ってはならないとする厳しめの規制です。許可基準は施行令で定められていますが、具体的な許可の要件と許可不要の行為については、各自治体の所管窓口やホームページで確認したほうが良いでしょう。

特別保存地区は都市計画法8条で定める地域地区であり、都市計画において決定されるものなので、決定権は都道府県にあります。

また、特別保存地区に指定された場合、建築行為等に規制が課されるばかりではなく土地所有者にとって以下のメリットがあります。

  • 優遇税制(相続税・固定資産税)がある
  • 府県による土地の買入れがなされた場合、譲渡所得に一定の控除が適用される

特別保存地区が指定される都市

特別保存地区が指定されている都市の一覧です。
出典は国土交通省公表の都市計画現況調査(平成31年3月31日)

都市名特別保存地区の名称
鎌倉市朝比奈切通し地区、瑞泉寺地区、浄妙寺地区、護良親王墓地区、建長寺・浄智寺・八幡宮特地区、永福寺跡地区、寿福寺地区、妙本寺・衣張山地区、名越切通し地区、大仏・長谷観音地区、極楽寺地区、稲村ヶ崎地区、円覚寺地区
大津市近江神宮歴史的風土特別保存地区、西教寺歴史的風土特別保存地区、石山寺歴史的風土特別保存地区、日吉大社歴史的風土特別保存地区、延暦寺飯室谷歴史的風土特別保存地区、延暦寺横川歴史的風土特別保存地区、延暦寺東塔・西塔歴史的風土特別保存地区、崇福寺跡歴史的風土特別保存地区、園城寺歴史的風土特別保存地区
京都市御室・衣笠地区、上賀茂地区、三千院地区、阿弥陀ケ峰地区、金閣寺地区、醍醐地区、西賀茂地区、稲荷山地区、神山地区、瓜生山地区、清水地区、泉涌寺地区、松ヶ崎地区、曼茶羅山地区、嵯峨野地区、嵐山地区、岩倉地区、小倉山地区、寂光院地区、大文字山地区、双ヶ岡地区、修学院地区、上高野地区、山科地区
奈良市春日山地区、平城宮跡地区、聖武天皇陵地区、山陵地区、唐招提寺地区、薬師寺地区
天理市石上神宮地区、崇神景行天皇稜地区
橿原市香久山地区、畝傍山地区、耳成山地区、藤原宮跡地区
桜井市三輪山地区
斑鳩町法隆寺地区
明日香村飛鳥宮跡(第1種)、石舞台(第1種)、岡寺(第1種)、高松塚(第1種)、明日香(第2種)

各地区の概要や詳細な制限は「〇〇市 歴史的風土特別保存地区」で検索してみると各自治体のホームページがヒットすると思います。

また、だいたいページの最下部に担当課と係名が記載されているので、電話か窓口に訪問するなどして詳細の打ち合わせをしましょう。基本的には都市計画課等の景観・風致担当でしょう。

まとめ

古都保存法は重要事項説明の一つである法令とはいえ、神奈川県・滋賀県・京都府・奈良県の4府県以外では全く気にしません。

売買する土地や建築計画をする敷地が、表に示した市町村の場合にのみ、特別保存地区に該当するかどうか確認することがポイントです。

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