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令和3年版!職種別おすすめ法令集3選(実務編)

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お疲れ様です。くるみ(twitterはこちら)です。

今回は、建築に関わる様々な職種を経験してきた私が、あなたに合ったおすすめの法令集をご紹介します。

法令集の種類ってたくさんあって、どれを使えば良いか迷ってしまう…。

一度使い始めてしまった法令集なので、今さら他の法令集に手を出しづらい。

コンプライアンスが重視される昨今、建築業界も例外なく法令順守が徹底されていますので、建築のプロにとって法令集は必須です。

しかし、私は知っています。試験勉強以外で法令集を開かない建築士が存在することを。顧客の立場になれば、設計や施工をお願いするプロが法令集を持ってない(または使いこなせない)のって、控えめに言ってドン引きなのに…。

私は、特定行政庁・企業のインハウス建築部門・設計事務所・工務店と幅広く職を経験してきましたが、計画~設計~施工のどの段階でも法令を確認しないといけない場面は必ずあります。

問題なのは、職種・立場・場面によって求められる法規チェックの精度が様々なので、必要とする法令集も変わってくることなのです。ぜひ自分の仕事に合った法令集を見つけてほしい。

今回は、私の独断と偏見により、おすすめの法令集+αを特徴の解説とともにご紹介します。

職種別おすすめ法令集3選

設計事務所・ゼネコンの方は黄色本

設計事務所・ゼネコン設計部のあなたにおすすめの法令集井上書院さんの建築関係法令集です!

理由は、1冊だけで法令から主要な告示をほとんどカバーしているから!法規チェックがスピーディーで、机が散らからない。ただし、分厚くて重い…。

法令集って、とんでもなく分厚いもんですから、基本的には法令編と告示編の2冊に分かれるのですが、井上書院さんの黄色本は法令から告示を1冊でカバーできます。

設計してるときって、カタログとか図面とか見積書で机の上がかさばりがちです。そのうえ法令集まで2冊も出したくありませんので、1冊で済むのは正義です。散らかった机でクリエイティブできませんからね。また、法規チェックするために本棚から1アクションで取り出せるのは秒を争う建築士には地味にありがたいのです…。

削られている告示もマイナーなものなので、実務的には困らないでしょう。
難点は、厚くて重いことですが、デスクで使う分にはさほど問題にはならないです。

実際、私の働いていた設計事務所でも黄色本は人気でした。

審査機関・行政・企業内建築職の方は青本

審査する側、またはコンプライアンスを重視する立場の方は井上書院さんの基本建築関係法令集〔法令編〕〔告示編〕がおすすめです!

理由は、マイナー告示&法令までしっかりとカバーしているから。あと紙が分厚いので、ガシガシめくりやすく、破れにくい。ただし、2冊買わないといけない…。

建築計画を審査したり、建築計画の上流でその実現性のエビデンスを固める作業は、とにかく精度が求められます。そんなとき、関係法令の見逃しがあってはいけませんから、告示をしっかりとカバーしている青本がおすすめです。

さらに、建築関係法令も守備範囲が広いです。コンプライアンスという意味では、建築基準法だけ守れば良いわけではないので、その点でも信頼度が高いです。

また、紙が比較的分厚い(というか重い)ので、紙を指の腹でつまみながらページをめくりやすく、それに耐える耐久性があります。ガシガシ法規チェックできます。しかも、法文中に出てくる政令、省令、告示の該当ページを同じ行のすぐ右にレイアウトしてくれるのですが、これは青本だけの特徴です。

ただし、〔法令編〕〔告示編〕の2冊買う必要がありますので、出費は大きいです。(会社に買ってもらいましょう。)

工務店・不動産会社の方は確認申請memo

(法令集ちゃうやん!と怒られそうですが…)
規制内容を図表で確認したり、さまざまな地域・地区の規制内容を網羅的に確認したい場合は、新日本法規出版さんの確認申請memoがおすすめです!

理由は、図表が充実しているだけでなく、用語の解説や地域・地区による規制内容や許認可届出の手続きについても網羅的に解説しているから。

確認申請memoは、やりたいこと・気になることから逆引き的な使い方ができるため、現場での計画変更や敷地調査について直感的に対応できます。「要はどうすれば良いの?」でまとめられていますので、体系的に建築法規を学んでいない人にとってはこれが一番使いやすい。

施工者としては、根拠条項については必ず掲載されているため、建築士との打合せ時に困りません。

また、意外に知られていませんが、土地の売買に係る敷地調査で気になる、重説で求められるような関係法令が網羅的に解説されており、その許認可届出についても解説があるため取りこぼしがありません。

資格試験系法令集、実務では…?

資格試験系の法令集といえこの2冊

  • 総合資格学院の建築関係法令集 法令編【緑本】
  • TAC建築士講座の建築基準関係法令集【TAC】

どちらもサイズがB5サイズと大きく、1ページ2段組のレイアウトになっていることと、条文ごとに関係法令が分かりやすく掲載されているため、試験用として人気がありますし、実際使いやすいと思います。

ただし、建築士試験では告示に関する問題がほぼ出ないので、どちらも告示に関してはとても実務に耐えられるものではありません…。が、緑本の方は告示編で補強すれば十分使えるため、総合資格学院に通い一級建築士を取得後そのまま使用するのも悪くないでしょう。

ただ、実務でこの法令集を出されると、「えっと、無資格なのか…免許取りたてかな…?」と思われる可能性は大きいと思います。建築士のお仕事は時にはハッタリも大事なので。

まとめ

今回は、職種別におすすめ法令集+αを紹介しました。それぞれの特徴をおさえながら自分に最適な法令集を手にしてもらえたらと思います。

「法令集」とはその名の如く、法文が羅列されているだけなので、どれも内容は同じです。あとはレイアウト・紙質・告示と関係法令の守備範囲に気を付けて直感で選んでみてください。

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