道路関係規定

道路位置の復元?通行権?位置指定道路に接道する際の注意点

道路関係規定
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この記事のポイント
  1. 指定幅員未満の位置指定道路の存在とその対処法
  2. 道形状じゃないのに位置指定されているケースとその対処法
  3. 民間所有のままの位置指定道路の「通行権」について
  4. カミソリ分筆に注意

こんにちは、一級建築士のくるみです。(twitterはこちら

今回は、物件調査や建築計画をするときに、敷地が位置指定道路(法42条1項5号道路)に接道する場合に注意すべきことをまとめます。

そもそも「1項5号道路?」という方や位置指定道路かどうかの調べ方が分からないという方は過去記事をご覧ください。

位置指定道路は、れっきとした建築基準法上の道路ではありますが、実はけっこうトラブルが多い道路です。3つの事例に分けて、説明してみます。

現地で、指定されている幅員より小さいことがある

位置指定道路を現地で計ったら4mの幅員がないんだけど、セットバックが必要なの?

このような相談がたまにあります。

位置指定道路の幅員は概要書で確認できますので、所管の特定行政庁に確認してみてください。そして、その幅員を現地で計ると、指定されている幅員より狭いことがあります。そのような場合の対処法について考えてみます。

【対処法】道路位置の復元

指定されている道路幅員よりも現地の道路幅員が狭い場合でも、あくまで指定されている幅員が建築基準法上の道路として扱われますので、現実世界でその矛盾を解消するため道路位置の復元(セットバック)が求められます。

仮に敷地境界の中へ建築物を収めていたとしても、道路境界線がさらに食い込んでくることになりますから、考え方としては2項道路のセットバックに近いです。が、確認申請上の境界線名は「道路後退線」ではなく、しっかりと「道路境界線」となります。

このとき、注意しなければいけないのが、道路位置指定の申請時の土地利用計画図に、調査している敷地が含まれているかどうか。

その土地利用計画図に調査している敷地が含まれていなければ、基本的には対側地への片側後退となります。(本来、セットバックする必要のない敷地が、後から築造された位置指定道路のせいでセットバックしなければならないのは不合理ですからね。)

なぜ指定の幅員より小さい位置指定道路が存在するのか

そんな罠みたいな位置指定道路がなぜ存在するのか。
理由としては大きく2つあります。

ひとつめは、幅員が足りないまま施工された道路が現在に至るもの。(昭和40年代の位置指定には完成検査の規定がなかった。)ひどいものは、道路自体が築造された形跡すらないのに、書類上のみで位置指定されているものも。

ふたつめは、日常生活における”ブロック塀や花壇を設置してみた”程度の改造で誰も気づかないままに道路が侵食されてしまったもの。

上記のような理由により、指定よりも幅員の小さい位置指定道路が存在してしまいますが、これが意外に散見されます。必ず、現地にて道路幅員は確認しましょう。

設計の実務としては、あまり大きな声では言えませんが、幅員が4mに近い場合、確認申請図面においては、「1項5号道路」で幅員4mである旨記載しておけば、実際問題、誰も気づかずに通るでしょう。

道路形状をしていないのに、道路位置指定されていることがある

昭和40年代の道路位置指定には完成検査規定がなかったので、申請後、計画変更等の何らかの理由で築造されなかった道路について、位置の指定だけが生きている。そんな道路が実際に存在します。

【対処法】職権or申請による位置指定の廃止

現状は敷地の一部なのに道路の位置指定のみが生きている稀なケースですが、当然道路内の建築制限(法第44条)がかかってきますので、基本的には道路部分については建築不可です。

建築基準法には道路位置指定の規定はあるのに、「廃止」という明文化された規定はありませんが、運用上特定行政庁は指定の意義が実質的に失われている場合は職権により位置指定道路を廃止することもできるため、これが解決へのルートかなとも思いますが…。
実態の無い道路位置の指定取消しは行政手続法に規定する不利益処分に該当しないため、行政としても意見陳述のための手続(聴聞、弁明の機会の付与)は不要と思われハードルも低い。

もしくは、土地所有者等による申請により廃止するルートも考えられます。ただの廃止ですので、特段準備する図面等も少なく(廃止部分を明記した配置図、公図、登記簿くらい)、早ければ2週間程度で申請から公告まで行けると思います。

GISの指定道路図は現状に合わないこともある

特定行政庁は省令第10条の2に基づき指定道路図を作成しています。そして、今は多くの自治体でGISにより整備され公開されています。(自治体のウェブサイトで閲覧できるところも結構あります。下の図は京都市の例)

画像1
Webで閲覧できるGIS指定道路図 京都市の例

しかし、考えてもみてください。GIS化される以前はどこもゼンリンの住宅地図的なものに色鉛筆やマーカーで道路種別を書き込んで管理していたところを全てデータ化するのですから、役所の職員だけでは技術的にも量的にも到底不可能です。

そこでGIS化するための入力作業を外部委託するのですが、膨大な量の情報を手入力させるうえ、また1路線1路線チェックしていくのですから人的ミスは発生します。また、全ての路線をリアルタイムで監視して、常に最新の道路種別をGIS上に更新できるはずもありません。

よって、微妙な道路についてはGISの指定道路図を100%鵜呑みにすることは推奨されません。

上記のような事例は、指定道路図がGIS化されるタイミングで、現状で道路形状を失った位置指定道路が人間に忘れ去られ入力されていなかったため起きたものでしょう。

建築基準法上の道路なのに第三者には通行権がない?

位置指定道路は個人の所有する土地であっても成立し、法44条による「建築物を建てられない」かつ「指定の変更や廃止にはハードルがある」という規制以外には、特に私権を縛ってはいません。

つまり、そのような道路は他人様の所有する土地ですので、建築基準法上の道路だからと言って、誰でも通行する権利が保障されているわけではないのです。

道路位置指定を受けた土地の所有者が所有権を行使するにあたり、道路内に建築物を建築したり、道路の変更または廃止を制限されることによって(法44条、第45条)、たまたま第三者もその私道を通行するのに障害がなくなるだけであり、これは第三者が受ける公法上の反射的利益にすぎません。

道路位置指定は、接道する敷地において建築を可能にするための行政処分であって、それによって通行地役権などの私法上の権利を発生させたり強化したりする効力を直接は持たず、あくまで権利関係については民法上の相隣関係の規定等に委ねられています。(民地2項についても同様。)

つまり、私道の位置指定道路にプランターやバリケードを置かれたりしても、公法である建築基準法を基に不当を訴えることは難しいということですね…。

一般の多くの人は「公的に認められた道ならみんなのものなんじゃないの?」という意識があるかも知れませんが、位置指定を受けた道路の所有者から見れば決してそうではないこともあります。開発した人や業者からしたら、投資した道路が第三者に勝手に使われるのは面白くありませんよね。

カミソリ分筆があると接道できない。

位置指定道路を築造する場合、隣接する土地所有者の同意が必須なのですが、様々な理由によりどうしても同意してもらえないことがあります。

だからといって、いつまでも土地を遊ばせておくわけにもいかないので、位置指定道路の築造主は、同意してくれない人の土地が隣地にならないように、100mm程度敷地を切り離した位置に道路を築造することがあります。この際に切り離した土地がカミソリ分筆地として残されるのです。

位置指定道路との接道を確認する方法は、①位置指定道路の土地利用計画図を閲覧して、調査敷地が計画図の中に入っているか確認し、②土地利用計画図に調査敷地が入ってない場合は公図により分筆跡が無いかさらに確認するといった流れになるでしょう。

なお、位置指定道路は基本的に両側隅切りが必要ですので、片側隅切りの場合は特に注意しておきましょう。

まとめ

敷地が位置指定道路(法42条1項5号道路)に接道する場合に注意すべきことをまとめました。

  1. 位置指定道路は申請内容と現地の乖離がある可能性がある
  2. 指定の幅員が現地より大きい場合は道路位置の復元(セットバック)が必要
  3. 民地位置指定道路については、通行権が保証されているわけではない
  4. カミソリ分筆があった場合、接道できないことがある

位置指定道路については、完了検査後にどのように維持管理されていくかは、誰も監視する人がいません。建築物のように定期報告の義務もありません。

しかし、多くの人は道路を公共物(行政や公的機関が関与している)だと思っていますのでイメージしにくいかも知れませんが、既存不適格建築や脱法建築があるのと同じように、現実世界には法的に不適合である道路も、実際に存在しますので、物件調査の際には調べておくべきでしょう。

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