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屋内ガラス代用は樹脂板で!デザイン・安全・コスパ重視のDIY補修

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この記事のポイント
  • DIYで「見栄え良く」「安全な素材で」「安価に」ガラスを補修する方法!

お疲れ様です。中古の一戸建て住宅を改修しながら暮らしている、一級建築士のくるみです。(twitterはこちら

今回は、内部建具などに使用されているガラスを割っちゃった際に、以下のニーズに応えながらDIYで補修する方法をお伝えします。

・割れにくくて安全な素材でガラス代用したい。
・和紙やステンドグラスのようなテクスチャを楽しみたい。
・しかも安く済ませたい。

候補となる材料を検討する

屋内使用であれば、安くて比較的傷に強い「塩ビ板」がオススメなのですが、他の樹脂板にもそれぞれ利点・欠点はありますので、検討してみましょう。

 価格透明度耐衝撃耐擦傷難燃性耐薬品
塩ビ
PET×
ポリカ××
アクリル××××

屋内で雨風日光にさらされない場所なら、そんなにスペックは気にしなくても大丈夫です。ガラスフィルムなどで仕上げるなら、なおさら何でも良いです。

塩ビ

  • 抜群の難燃性
  • 高い耐食性(錆や腐食に強い)
  • 対薬品性(アルコール・エタノール問題無し)
  • 比較的安価
  • 柔らかく加工性に優れる
  • 透明度は他の樹脂板に劣るが、そこまでの差は無い
  • 擦り傷に強い
  • 直射日光が強く当たる場所だと変色する可能性がある

デメリットこそあれ、他の樹脂板と比べて絶望的というわけでもないので、価格とのバランスが良い材料と言えます。

塩ビは柔らかいので木用の丸ノコでカットできます。手でアクリルカッターを使って切るのはしんどいので、この点でもポイント高いです。

PET(ポリエチレンテレフタレート)

  • 高い加工性(曲げ加工をしても白化しない)
  • 対薬品性(アルコール・エタノールにも強い)
  • 透明度に優れるが、擦り傷はつきやすい

中途半端な材料なので、価格で塩ビに負けてる時点で選びにくい。

ポリカ(ポリカーボネート)

  • 高い難燃性(自己消火性あり)
  • 最高の耐衝撃性(ハンマーで叩いても割れない強度)
  • 高い耐熱性(高温下でも変形しにくい)
  • 透明度に優れるが、擦り傷はつきやすい

正直、塩ビでもよほど強く叩かないと割れないので、そこまでのスペックは不要。擦り傷が付きやすく、値段が高い点で採用しにくい。

アクリル

  • ガラスをも凌ぐ高い透明度
  • 擦り傷にもそこそこ強い
  • 硬いので加工が難しい
  • ポリカ同様、値段は結構高い

予算に余裕があり、加工テクニックに自信があるなら採用しても良いかも。

ガラスの厚み

ほとんどの内部建具に採用されているガラスの厚みは2mmです。

よって、建具の溝は2mm+αで造られています。溝を測ってジャスト3mmくらいに見えても2mmのガラス用の溝です。

厚さ3mmのガラス用の溝なら、3mm+αになっているはずです。

ちなみに、建具のガラス溝の深さは以下の寸法になっていることが多いですよ。

  • 上:9mm
  • 横:6mm
  • 下:3mm

施工手順

では、私が実際に行った手順に沿ってご紹介していきましょう。

使用する材料

  • 既設建具(からガラスを外したもの)
  • 塩ビ板(取り外したガラスと同じ大きさにカット)
  • ガラスフィルム(オプションなので必須ではない)

塩ビ板クリアは910mm×1820mm(厚2mm)をホームセンターで入手。ガラスフィルムはAmazonで安くてレビューの良いものを選びました。

ガラスフィルムは幅900×長さ2000のものであれば、建具一面分がカバーできます。水で貼るタイプは何度でもやり直しが効くので、初心者にオススメです。

塩ビはサブロク版のを買ってきて、丸ノコでシャーンと切るのが早いと思います。

樹脂板をガラスフィルムでデコる

樹脂板を表面がツルツルなクリアにすればガラスフィルムでデコれます。最近ですと100均でも取扱ってますし、値は張りますが和紙のような柄もありますのでデザインの幅が広がります。

また、樹脂板の天敵である擦り傷からも守られるため、見た目重視なら必須です。

①まずは、あらかじめカットした樹脂板よりも若干大きくなるように切る

水で貼るタイプは何度でも微調整できるので、深く考えずにサイズカットしても問題なし

②ガラスシートの裏紙を剥がして、貼る面に水を吹きかける

霧吹きで、びっしゃびしゃにするくらいでOK

③樹脂板の上に乗せて、水と空気を追い出す

タオルでこすってやると簡単です

④樹脂板の上で、1mm程度小さくカットする

フィルムを樹脂板よりも小さくカットしておくと、溝にはめ込む際にめくれにくくなります

フィルムのカットはよく切れる30度カッターを力を入れずにスーッと切る感じです。あと、カッターを用いる際は必ず金属の定規にしましょう。プラスチックの定規だと、定規ごと切ってしまうことがあります。

建具にデコった樹脂板をはめ込む

あとは、ガラスを外すときと逆の手順ではめ込むだけです。

塩ビ板なら柔らかいので、多少大き目にカットしてしまっていてもぐわーんと曲げてはめ込むことが出来ます。

ガラス押えを戻して、完成!

普通に見ただけでは、全然型ガラスと遜色ない見た目に出来ました。軽すぎてバタついたり、強く押したら湾曲して外れるという心配もなさそうです。

まとめ

「割れにくい」「デザイン自由」「安価」のガラス補修DIYを紹介しました。

  • 樹脂板でガラスを代用すると利点がいっぱいある
  • 樹脂板は割れにくい(かつ割れても安心)
  • 塩ビ板がコストバランスに優れている
  • ガラスフィルムを用いると耐擦傷性が向上しデザインも自由になる
  • たいていの内部建具ガラスは厚さ2mm

元気なお子さんがいらっしゃるご家庭には特におすすめです!ぜひ挑戦してみてください。

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