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「実は接道が無い敷地」の実例まとめ!

道路関係規定
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この記事のポイント
  • 「接道」にまつわる失敗事例まとめ!
  • 側溝or水路の判断について
  • 里道等(赤道、青道)について
  • 筆界(不動産登記法)と敷地境界(建築基準法)について

接道してそうなのに、実は接道してない。という、私が今まで見てきた怖い事例をまとめます。

えぇ!?この敷地接道できてないの!?
これから接道許可取ってたら着工間に合うかなぁ…。

「建築物の敷地は、建築基準法上の道路に2m以上接しなければならない」という規定は常識ですが、案外この接道という言葉を軽く見ている設計者様もいらっしゃいまして…。

現地でいくら道路っぽいものに接していて、事実上問題なく出入りできている敷地も、様々な要因により実は接道できないケースはけっこうあります。今回は、その様々な要因を事例ごとにまとめてみます。転ばぬ先の杖です。

接道の特例許可(法43条2項の認定or許可)について、詳しくは下記のリンクへ。

接道許可の実務を分かりやすく解説!(旧43条ただし書き許可)

case1:道が法上の道路じゃなかったとき。

この道、幅員は4m以上あり登記上の所有者は市地目は公衆用道路管理は市が行っています。ただし、道路法による認定道路ではありません。

見れば見るほど”道路”っぽいのに、以下の理由により建築基準法のどの定義にも当てはまりませんので、法上は道路ではないと見なされます。よって、この道から接道をとることはできません。
・認定道路では無い(=道路法の道路ではない)⇒1号道路非該当
・開発道路ではない⇒2号道路非該当
・基準時に道路形状がない⇒3号道路、2項道路非該当
・事業によるものではない⇒4号道路非該当
・道路位置の指定を受けていない⇒5号道路非該当

道の幅員が4m以上あった時点で、法上の道路であると勘違いしてしまう方がいますが、注意してください。道路種別の判断はもっと繊細です。道路種別は特定行政庁の窓口等で必ず確認できます。

case2:敷地の最狭部分がうっかり2m切れちゃったとき。

敷地の最狭部分が2mを切ってしまう事例って結構たくさんあるんですが、見落としがちな2例を紹介。

①の敷地 狭小地ながら旗竿地の形状で敷地分割することありますよね。そのとき、接道をギリギリの2mで攻めたつもりが、竿部分に少しでも角度がつくと最狭部分が2mを切ります。

②の敷地 道路の突き当りの敷地で、ぎりぎり2mの接道がありそうな感じがしても、道路に平行な隣地境界線に少しでも角度がつくと最狭部分が2mを切ります。

図は極端に書きましたが、パッと見、道路に対して鉛直や平行に見えるような境界線も1度の角度がつくとアウトな例なので、注意が必要です。要は2mの円がどこにも触れずに敷地内まで通ればOKなのです。

case3:道路境界線は2m以上あるが出入りできないとき。

道路境界線として2m以上確保できても、人間が自力で出入りできない障害物や高低差がある場合は、その部分について接道とは取扱いません。

目安としては、①有効幅員Wが600mmより狭いとき、②高低差が1mを超えたとき、人が通れないと見なされることが多いと思います。が、あくまで目安ですので審査機関や特定行政庁ごとに確認することをおすすめします。

無窓居室があるなど法35条に掲げる建築物で、令128条(敷地内通路)の適用を受ける場合は、有効幅員Wは1,500mm(場合によっては900mm)必要になります。

case4:道路側溝だと思ったら水路だったとき。

見た目で、道路側溝か水路か分からない場合は、どこの所管なのか調べるところから始まります。

例えば、県道であれば建設事務所、市道であれば市役所の道路課などに聞きに行きます。役所は道路に付属する構造物は間違いなく把握しているので側溝or水路を教えてくれますが、農業用水路だった場合は農林事務所や農村整備課などが所管します。(水路が無籍地だと所管が不明となる場合がありますが、それは役所内部の話です。はっきりしてもらいましょう。)

さて、建築基準法において無条件で接道できるのは、道路の一部である道路側溝の場合のみです。

仮に道路系部署の所管であっても、①道路とは別管理の井構や用悪水路だった場合、「水路占用許可」をとらないと接道できません。公図上で、赤道と青道が平行している道路とか、水路部分が井構や用悪水路として別の筆で分かれている場合などは、水路である可能性がかなり高いです。

ただし、②水路が道路管理者により暗渠化され管理されている場合は、建築基準法としては道路幅員の中に含むのが一般的です。

注意すべきは、買った土地に既設の橋が架かっていても占用許可の期間が切れていたり、無許可の橋だった場合は改めて許可を取る必要がありますし、幅が2mに満たない場合はやはり接道とは取扱いませんので、要確認です。

話はそれますが…。水路占用が必要な敷地を買って建築したあとに前面水路が暗渠化されたとき。建築基準法上の道路にがっつり接道することになりますので、斜線制限などの規制が新たにかかってきます。よって、余裕があれば暗渠化されても法適合できるよう配慮して建築計画するのがベターです。

case5:道路との間に里道が挟まっていたとき。

case4も厳密に言えば本ケースに含まれますが、認定道路と敷地の間に里道等(※)が挟まっている場合は現地では気づきにくいことが多く、公図と現地を照合できる情報を揃える必要があるため、難易度がひとつ上がります。

この場合、①道路に見えるのに里道等が介在しているパターンと、②すでに敷地の中に取り込まれてしまっているパータンが考えられます。建築するには、里道等の部分を空地として法43条2項の認定or許可をとるか、あるいは払い下げをしてもらい自分の敷地に入れないと接道を確保できません。

※里道等とは

道路、河川、溝きょおよび用排水路などで国有財産特別措置法の規定により地方自治体が譲与を受けた財産ならびに行政財産として道路法、河川法その他公共物の管理に関する法律の規定の適用または準用を受けないもの(法定外公共物)をいいます。いわゆる赤道青道ってやつです。

実際には以下の例を見たことがあります。
 県道(1項一号道路)に沿う形で市管理の赤道が介在している。
 市の認定道路に沿う形で県管理の畦畔が介在している。
 現在では水路の形になっていない(未舗装)青道が介在している。

建築確認には「底地」という概念がないので、筆界や所有者については審査対象外になっています。特に昔の建築確認では、上記のような赤道を取り込んだガバガバの敷地設定で確認が下ろされている例が散見されますので、確認済証があるからといって油断しないように。

case6:位置指定道路のカミソリ分筆があるとき。

位置指定道路を築造する場合、基本的に隣接する土地所有者の同意が必須なのですが、様々な理由によりどうしても同意してもらえないことがあります。

だからといって、いつまでも土地を遊ばせておくわけにもいかないので、位置指定道路の築造主は、同意してくれない人の土地が隣地にならないように、100mm程度敷地を切り離した位置に道路を築造することがあります。この際に切り離した土地がカミソリ分筆地として残されるのです。

位置指定道路との接道を確認する方法は、①位置指定道路の土地利用計画図を閲覧して、調査敷地が計画図の中に入っているか確認し、②土地利用計画図に調査敷地が入ってない場合は公図により分筆跡が無いかさらに確認するといった流れになるでしょう。

なお、位置指定道路は基本的に両側隅切りが必要ですので、図のように片側隅切りの場合は特に注意しておきましょう。

念のために書いておきますが、公法上の筆界と建築基準法の敷地境界は全く別の次元のものですので、仮にカミソリ分筆があっても、その土地の所有者の承諾のもと、建築基準法の敷地に取り込んで接道させ、確認申請を出すことは何の問題もありません。

位置指定道路以外に、単体の敷地でもカミソリ分筆が見られることがあります。道路と分譲地の間にデベロッパーが数cmの敷地を所有しており、土地の売買の際にはその会社を通さないと話が進まないといった類のものです。

case7:開発区域内に額縁分筆があるとき。

カミソリ分筆とよく似たものに、額縁分筆があります。仕組みはまったく同じ。

開発許可でよくみられ、周囲の隣地所有者の同意を得られない場合に用いられる手法です。(最近は法務局がこれを認めていないとのことですがどうでしょう…。)

よって開発団地の外周部にある2号道路(すでに自治体に帰属され1号道路となった道路含む)については注意が必要です。開発登録簿の土地利用計画図を閲覧して、開発区域外周部に「未利用地」などと100mm程度の空間があった場合はおそらく額縁分筆です。

case8:開発道路が法上の道路になっていなかったとき。

法42条1項2号の開発道路って、開発が進む中のどの時点で建築基準法上の道路になるのでしょうか。

経験上、公告されることで2号道路とする特定行政庁が多いですが、開発の完了検査が終了した時点で2号道路と取扱うところもあるようです。といっても、完了検査⇒合格⇒公告は同じ日か誤差程度なので、あまり気にすることは無いかも知れません。

注意すべきは、開発工事中の敷地での建築計画で、確認申請の提出日にまだ検査を受けておらず2号道路になっていないと、接道無しとして指摘を食らうこともあるでしょうから注意が必要です。

case9:旗竿地で3階建て建築物を計画するとき。

令126条の6(非常用の進入口)のただし書きにより、旗竿地で代替進入口を用いる計画とする場合、敷地内に4m以上の通路が求められます。つまり、接道が最短でも4mは必要になります。(有効幅員で4mなので、塀などの工作物がある場合や竿部分に角度がついている場合はもっと必要。)

図は、法律上厳密に言うと”接道はある”のですが、敷地内通路を確保するために事実上接道が4m以上必要になる事例です。うっかりしていると無接道と同等のダメージを受けます。

まとめ

今回は、「接道」に関するうっかり事例をまとめてみました。法上の道路かどうかについては特庁の窓口で確認すればよいし、敷地の高低差や水路の有無については現地で見れば分かるのですが、里道の介在やカミソリ分筆は公図をチェックしないと分からないため、少し難易度が上がります。

「接道”できる”」というのは、建築基準法外の要素が多く関わるため、思っているよりも繊細な判断なのです。調査する際のポイントを以下にまとめます。

  • まずは特定行政庁に法上の道路の位置を確認する
  • 公図により道路部分と敷地の間に赤道や青道が無いか確認する
  • 水路や里道を渡る場合は、所管を確認して占用許可や払い下げを検討する
  • 位置指定道路や開発道路に接道したい場合はカミソリ分筆などに注意する
  • 配置計画では敷地内通路の確保と高低差の処理も検討する

不動産業界の方に注意してほしいのが、「売買する土地(不動産登記法の筆)が接道しているか」と特定行政庁に確認するのは少しズレているということ。建築基準法で「接道」するのは、あくまで建築士などが設計する「敷地境界」であり「筆界」ではありません。(建築士が必ず筆界と完全に一致する位置で敷地境界線を設計するとは限りません。)

よって、建築指導課などの窓口では「前の道路は法上の道路です。」という回答までしかできなくて、その道路の筆と土地の筆の位置関係を公図で確認していただき、「接道”できる”土地である」という判断を各自で行ってもらうことになります。言葉遊びのように思えますが、大事なところです。

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